トレーダーズ・グレイル

トレードの世界を探求するプロトレーダー増田蔵人の気まぐれ更新ブログ 本当に勝てる投資家になるためのブログ

トレードの技術

うねり取りの効力

前回、林輝太郎氏が主張されているのは、要するに相場における「うねり取り」であって、そのうねり取りというのは、右肩上がりの相場ではなく、むしろ方向性がないときに、最も効果を発揮する、と述べましたけれど、そういえば、自著で「うねり取りが本当に威力を発揮するのは、方向性のない相場である」ということを、あまりきちんと詳しく述べていなかったかなぁ、と気づいたので、もうちょっと書いてみます。
次版では著書も修正したいと思います。

で、なぜ、うねり取りが方向性のない相場で威力を発揮するかと言えば、そもそも、初心者投資家がやろうとするのは、上がる銘柄を探して、一発で買おうとする、というやり方です。
このやり方でも、相場に明確な方向性がある場合は、比較的儲かりやすいわけです。
右肩上がりの相場が続くのであれば、どこで買っても、保持していれば、それなりに利益が出るわけで、それほど「技能的な実力」は必要ないんですよね。

私が投資の勉強をしている頃、割とそういう時期がありました。
その頃に、儲かりやすい相場で投資に参戦して大金を儲けた人たちが「私は実力がある」と勘違いしていて、当時初心者だった私から見ても「これはひどい」と思えるぐらい、本当に馬鹿みたいな中身のないスカスカの本を出したりしていたのですが、そういった人たちが、その後も設けたという話は全く聞きません。
今でも投資の入門書の9割は駄本だと思いますが、それこそネット証券の戦国時代には、本当に、今とは比べものにならないぐらいに、水準の低いミーハー投資本が山のように出ていた時期があるんです。
今でもあまりにひどくて覚えているのは「投資は簡単な方法で儲かるんです。25日移動平均線が上を向いているときに買えばいいんです」というだけの本ですね(爆)
ホント、それだけしか中身がないんですよ(笑) それをすんごい薄めて、何十ページにも渡って書いてある。
ま、そりゃ確かに、必ずしも間違いではないんですが、一行で済むところを、わざわざ本で読むこっちゃないし、それが適切に出来れば誰も苦労してない、って話ですよね(笑) 

話がズレましたけど、そういうわけで方向性がはっきりしている相場というのは、割とあてずっぽうに買っても儲かるわけです。
そういうやり方をするレベルの人は、あまり空売りはやりませんけれど、空売りだって、明確な下げ相場なら、結構適当でも儲かるわけですよ。

ところが、方向性がはっきりしない相場というのは、なかなかに難しい。
価格が不規則に行ったり来たりするわけですから、なかなか、いわゆる「当て物」的な買い方をしても、すぐに下がってしまったりして、儲けるのは難しい。
そういう相場で、真価を発揮するのが、「波乗りの技術」です。
いわゆる価格の波のうねり、そのうねりから利益を得る、それが「うねり取り」ですね。

うねり取りというのは、技法の名称ですが、そのうねり取りを具体的に実行する方法が、分割した建玉の操作ということになるわけで、分割売買(ナンピン)の技法、ツナギの技法、要するに
建玉操作の技術
ということになるわけです。
それが上手なのが「実力がある」ということですね。

いわゆる「右肩上がり相場」というのは、昔は何年も続いたものですが、今では、サイクルも短くなっています。一年という短い時間で日経平均のチャートを見れば、一年の多くの部分は、あまり方向感が見えないことが多いですし、昔から俗に「相場の7割は方向感がない」などと言われます。
方向感がない時間が多いということは、それこそ、そうした時間から利益を得る技術が大切になってくるわけで、そこで威力を発揮するのが「うねり取り」です。

うねり取りこそが相場、といわれるゆえんもそこにあります。

ナンピンの有効性

最近、何が原因なのかよく分からないのですが、ちょくちょくブログを見てくださる方も増えてきて、著書のほうにもAmazonでぼちぼちユーザー書評も書いて頂けるようになり、ありがたい限りです。

この先、もしかすると、ホントに「もしかすると」レベルなんですけど、個人的に、もうちょっと書籍のことで面白い展開も待っているかもしれません。


まあ、小心者なので、書評は悪口書かれたらヘコむので、なるべく見ないようにしてるんですけどね(笑)
そこはそれ、どうしても気になるので、うっかり見ちゃったり(笑)
漫画家さんとかでナイーブな方は、ユーザー書評でボロカスに言われて、精神的に凹んで漫画書けなくなったりする方もいるみたいですね。


さて、そんなこんなで、せっかく書評書いてもらってるので、こんな質問的書き込みがあったので、ちょっとお答えしておきます。

林輝太郎の相場の受け止めの考え方は
日経平均が右肩上がりの時代にはうまくいくのですが、
方向性のない現代には危険すぎる方法です。
この根本のところを著者はどう考えているのか。


どう考えてるのかお答えします(笑)
ていうか、正直に申しますと、「うーん???? ごめんなさい、ちょっとよくわかりません」という感じです。

まず、林輝太郎氏が現役でおられた期間は、決して相場は右肩上がりばかりではありませんし、氏の本を読む限り、その相場のとらえ方が「右肩上がり」に対してである、というのが、全然理解できないので「ちょっとよくわかりません」という感想になるのですけど(笑)

私は林氏の全著書を10回以上は通読していますが、一度も「右肩上がりの相場向け」だという風に感じたことはないですね。
むしろ逆です。

私が、初心者が誰もが通る「株は買って儲けるもの」という「買い一辺倒」の世界から、「ああそうか、相場は買いも売りも全く同等なんだ」「下げ相場でももみ合い相場でも儲けられるんだ」と理解できたのは、林氏の著書のおかげですし、それはもちろん、氏が「売りで儲けるということを当たり前に説いておられる」からです。
言うまでも無く、売りで儲けるということは、右肩上がりどころか、右肩下がりの相場に対する方法論だということですし、実際、氏は「売りを重視すべきである」と「空売り」についての本も書かれています。


林氏は「うねり取り」の方法論を主体に論じていらっしゃいます。
林氏が根本的に言っておられるのは純粋に「常に上下する波に対して、いかに技術によって利益を上げるか」ということであり、そのための技法である「ナンピン」や「うねり取り」を説いておられるわけであります。
決して、相場の方向性に左右されるようなことを説いているわけではなく、逆に「どんな相場でも利益を上げられるのがプロであるから、相場の方向性は関係ない」ということを言っているわけです。

だから、林氏の方法論が、右肩上がりに対してだ、というのが理解できないのですが、推測するに、これは林氏の教えを、行間にある本質を読み込まず、たとえばナンピンならば「下がっているところを闇雲に買えばいつかは上がるから利益になる」という風に捉えているからではないでしょうか。
林氏の言説を、こういうとらえ方で読んでしまうのは、「株は買うもの。上がったら儲かるもの」という、お馴染みの先入観があるからだと思うのです。

ナンピンを「技法」と捉え、「下手なナンピンが駄目」だと言う以上、それは「上手にやれば良い」ということであって、「適切なときに、適切に使う」からこそ「技法」と呼ぶので、考えなしに、ただひたすた、ナンピンで買うわけではありません。
適切なときに、適切に使う、とは、もちろん、買い相場だけではなく、売り相場でも使う、ということで、ナンピンは売り相場でも大変有効であり、「買うためのもの」ではありません。

そもそも、右肩上がりの相場では、林氏の説くような、うねり取りやナンピンはそれほど重要な技法ではありません。
それほど技術レベルが高くなくても、右肩上がり相場では、比較的簡単に儲かるからです。
林輝太郎の相場の受け止めの考え方は日経平均が右肩上がりの時代にはうまくいくのですが、方向性のない現代には危険すぎる方法です。
というのは全く逆で
林氏が説いておられる考え方、うねり取りが最も威力を発揮するのは、近年の相場のような方向性のない「もみあい相場」なのです。

もみあいにおいては、単純に一方向にずっと価格が動かないため、一発買いしてずーっと建玉を保持するだけで儲かる、などという風にはいきません。
そこでは、上下する価格の波に対して、いかに細かく建玉を操作して利益を確保していくか、ということが重要になります。
それが、林氏の説く「ツナギ売買」であり、「うねり取り」の真価であります。

以上のように、私は、林氏の教えは、バブル崩壊後の相場のような近年の相場で、昔以上に有効な方法論だと思っています。
ひたすら右肩上がりではない相場だからこそ、林氏の教えるような方法論が必要となってくるのです。






チャートの勉強

ちょっと前に
誰も見てくれねえから更新停止してた(笑)
と書きましたが、最近、なぜか少しずつアクセス数が増えてきて、ありがたい限りです。
急に増えたのは謎なのですが、どこかで著書が紹介されたりしたのかな? と思ったりします。

さて、前回、「喋る爆弾(笑)(勝手に呼んで怒られるかな)」相場先生の話を書いたので、その話に続く流れで少し話題を。

これまで書いたように、根本的なところでは、だいたい私が著書に書いたことと、相場先生の言ってることは同じで、最初は私、この人を知ったとき「え? なに? 俺のドッペルゲンガー?」とか思ったぐらいですが(笑)
まあそこは正解はない相場の世界ですから、当然、主張に違うところもあります。

別にどっちが正解とかないですからね、どっちが正しいかとか、そんなことにめくじら立ててるようじゃ、上手になりません。


中でも、一番の違いは、相場先生は、リーディング(過去のチャートを大量に読む)という勉強を勧めてますが、私は著書に書いているように、そのやり方は「初心者には止(と)めて」ます。
ここで「止めて」と書いたのが重要なんです。
本にも「なぜ、だめなのか」という理由は書いてありますが、それは「否定」ではないんです。

なぜ、駄目なのかというと、リーディングは、有能な人がきちんと分かってやるぶんには、有効な勉強だと思います。
相場先生の言う事は一理も二里もあると思うんですが、現実には、それがちゃんと出来るのは、おそらく、ものすごく限られた少数なんですよ。
それ以外の初心者の人には、メリットより、デメリットのほうが圧倒的に多いと思うからなんです。


ちょっと話が脱線しますけどね、相場先生、ものすごく分かりやすく、軽妙にお話されてますけれど、あの方が言ってることって、実はものすごく難易度の高いことを、かみ砕いて喋ってるだけですよ(笑)
非常に初心者にも親切に「大丈夫、誰でも出来ます」って言ってますけど、実際はものすごいハードル高いんで、あの内容をちゃんと実践できて最後までいける人って、それこそものすごく限られた人間だと思います。
逆に言うと、それが出来る人は、相場先生に出会ってショートカットして早く儲けられるようになったかもしれないけれど、それがなくても、いずれは自力で独力で儲ける技術を身につけられた人だと思います。


話を戻しますw
なにが悪いのか、というと、グレッグカプラが「誤った思い込みを助長し、それは次第にイデオロギーにまで発展する」だったかな? ちょっと記憶で書いたので間違ってるかもしれませんが、通常の凡人には、リーディングをやりすぎると、そういうことが起きるんです。

「投資の聖杯」で述べたような、様々なマーケットにおける人間的トラップ、そういうものを把握して、回避できる能力があれば良いのですが、それが形成される前の初心者がチャートを勉強すると、たくさん見れば見るほど、「このときはこうなる」「こういう形状のときはこう動く」「このパターンではこうなる」という「思い込み」が出来、次第に、それが強固になってきます。
この「信念がいかに強化されていき、頑固で動かしがたいか。それがいかにトレーダーに負けを作り出すか」ということを「投資の聖杯」で述べているわけで、「自分はたくさん勉強したという自負があればあるほど、こうした頑固な信念が作られて負けるトレーダーになる」ということを書きましたけれど、要はそれですね。

ものすごい数のチャートを見て、思い込みが出来ると、結局、実践に臨んだときに、途中までのチャート形状を見て
ここは、この後、こうなるはずだ
これは、あのパターンだ
などという「妄執」「執着」が出来てしまうんですよ。

何度かは、勉強したパターンどおりに動いて、小さな利益を得ても、いずれ、パターンと異なる場面が来ます。
そこで、自分が間違っていても、「おかしい、こんなはずはない」とか「いやいや、いずれ戻るさ」などと、その考えに固執してしまう、あるいは過去のチャートを調べて、都合のいい似たようなパターンを探し出して「安心する」ということをしてしまうのが初心者です。
「間違った場合、建玉を操作してこうすればいい」ということも頭には入っていても、決して、それを実行しない、実行することを躊躇するんです。
とにかく、失敗を認めない、そうこうするうちに、どんどん悪化していき、とうとう耐えきれなくなって投げ出すが、大きな損失になる、というパターンが負ける初心者には非常にありがちなのです。
この大きな損失が、それまでの小さな利益を全部吹き飛ばして、なおかつトレードからリタイアせざるを得ないほどの致命的な損になる、というのも、それほど希ではありません。

まるで初心者を見てきたように書いてますけど、見てきてますっていうか私も通った道ですから(笑)

そういう理由から、私は過去チャートを勉強することを勧めていません。


もし、チャートの勉強をするなら、リアルタイムで「現在動いている」チャートを見て、実際にトレードしながら学んでいくべきだと思います。
これだと先入観の思い入れがないから、「ここは、こうなる」とは思わない、ただ形成されていくチャートを見て「なるほど次はこうなるのか」と思うはずです。
そしてまた、似たような場面に遭遇したとき「そういえば前もこんな形、あったな」と思う、で「今度はどうなるのかな」「こう動いたらこうしよう」などと思っていると、今度は前と違う動きをする。
「ああ、こういうこともあるんだな、色々だな」と分かる。

こういうやり方のほうが、時間はかかりますが、誤ったイデオロギーがほとんど作られないぶん、結果的には早く上達すると思います。
いや、もしかすると早くはないかもしれないけれど、「誤った回り道をしないで」上達していけるので、「誤った道を訂正する努力」をしないで済むぶん、まっすぐに上達していける、と私は思います。





オーナー紹介 増田蔵人
フリーで造型、PC関係等の仕事を多岐に渡り担当、関連雑誌等のライター。本名で著書が十数冊ある。
投資歴は30年。近年ライターとしての仕事が激減したため、プロトレーダーとして生計をたてるに至る。
2015年、ライター生活の集大成、トレーダー啓蒙書『投資の聖杯 ~投資常識の嘘~ 本気で勝てるトレーダーになりたい人のためのバイブル』を電子書籍でリリース。
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ツナギ売買の入門と実践 [増田蔵人 著]


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