前回、「目標の金額は身の丈にあったものにしましょう」みたいな話を書きましたけれど、ちょっと補足です。

いくら稼ぐ、という目標を持つのが悪いことではありませんが、これはあくまでも
究極的な目標
というか
一番大きな目標
ということです。

これだけが目標ということでも、目標は金額にしろということでもありません。

初心者は、必ず、別に具体的な目標を持つべきです。

目標で「百万円稼ぎたい」とか言うのは、何の目標も持ってないのと同じです。

こう考えてみてください。
トレードが練習によって上達する物事である、という前提に立つなら、たとえば「100万円を稼ぎたい」というのは、ギターの練習を始めたばかりの素人が「武道館でライブしたい」というのと同じです。
いや、1億円が「武道館」だとしたら、100万円は「ライブハウス」ぐらいかもしれませんが、それにしたって、初めてギターを弾く人が、いきなり「目標がライブハウス」というのは、当面は実現可能な具体性のある目標とは言えず、ほとんど夢物語、単なる「希望」に過ぎず、何も目標を持っていないのと変わらないでしょう?

そういう「大きな目標」を持つのは悪いことではないですが、それだけでは、何の具体性もありません。

とりあえずの到達点を「ライブハウス」にするとしても、じゃあ、そのライブハウスに到達するには、どうすればいいのか、と考える。
当然、まずは、ギターが上達しなければいけないわけですよね。

じゃあ、その上達をもっと具体的に分解すればどうなるのか、といえば、たとえば「Fコードがきちんと押さえられるようになる」などという目標になるわけです。

そうした小さい目標をいくつも達成していくことで、いずれは、「ギターが上手になった」というところに行き着くし(まあ、私は何年弾いてもヘタですけどw)、いずれはライブハウスという大きな目標に到達するわけですよ。


高校球児の最終目標は「甲子園」で、もっと言えば「甲子園で優勝」でしょうけれど、いきなりそれだけ目標にしても「アホかお前はホラ吹きか」と言われちゃいますよねw
それとは別に、もっと小さい県大会優勝とかいう目標があったり、更に小さく、まずは初戦に勝つという目標があったり、もっと小さく、バッティングの技術を上げるとか、カーブを投げられるようになるとか、当面の具体的目標があるわけですよね。

それと同じで、トレードの目標というのは、なるべく細かく割る方がいいです。
つまり、FコードならFコードの練習ばっかりする、野球でバントの練習ならバントを極めるまで練習する、というように、トレードの「技術」も、ひとつづつ、細かく練習していくほうがいいです。

たとえば「押し目買いのテクニックを上達させる」という目標を持って、そればっかりやる。
トレンドが明確な時期でも上昇と下落があるし、ボックス圏の動きもある。
その全部をいっぺんにやるんじゃなくて、その中で、まずは上昇トレンドをきっちり取れるように練習し、ボックス圏の練習をするのは、上昇トレンドに自信が持てるようになってから、など。


あるいは、あなたがもしも極端なあがり症ならば、ライブのためには、あがり症を克服するのが第一の目標になるかもしれませんよね。
これなどは直接演奏の技術とは無関係ですが、ライブをやるには大事ですよね?

トレードも同じことで、トレードの技術とは関係なくても、たとえば「やたらせっかちな性格である」としたら、それを直さないとトレードで勝つことはできません。
そんな風に、トレードが心理的な要因のものである以上、必ずしもトレードと関係ない事が、トレードの勝敗に大きな影響を及ぼしますので、それも修行すべき事柄です。

というより、著書にも書いたように、トレードの仕組みは買うか売るかしかない極めてシンプルなものですし、トレードで「勝つためにやるべきこと」は極めてシンプルで構わないにも関わらず、それで勝てない人が大半なのは、要因のほとんどが「トレーダーという人間」にあるからです。

だから、トレードでは、むしろ修行すべきは「トレードの技術以外」の部分のほうがずっと多い、とさえ言ってもいいかもしれません。


少し話を進めると、そういうことを繰り返していくと、いずれ
自分が苦手なところ
というのが分かってきます。

そのへんをどうするのか、というのは、個人個人の好き好きだと思います。
つまり、いっそのこと苦手だからやらない、と決めるのもひとつの手だと思いますし、逆に、苦手だから克服するまで重点的に練習する、というのもひとつの手ですね。
得意技をひとつ作って、それを重点的にやる、そのテクニックを磨き上げる、というのも、ひとつの手だと思います。
私は、日経平均がダメダメな低迷を続けていた頃は、「売り相場専門」でやっていたことがあります。

もちろん、苦手がないほうが、どんな場面でも常時儲けることは出来るのですが、トレードが上手ならば、必然的に「やるべきではない時間を待つ」技術が発展していくから結局はトレードしない時間が出来るでしょうし、苦手なときは指をくわえて見てるだけでも、充分に儲かるとは思います。