さて、このところ、下落が続いた日経平均ですが、週末の米国雇用統計が、ほぼ予測どおりだったとあって、米国やCME日経先物、夜間相場は大きく上昇しています
ひとまず、週明けの日経平均は、大きく上昇して始まることでしょう

まー、個人的には、雇用統計はネガティブかなぁ、と思っていたのですが、ハズれましたね(笑)
ポジションは強気なんですけどね(笑)
要するに、なんとなく思っていることと、ポジションの方向は無関係です。

さて、そんなわけで、このところの下落でまた
セル・イン・メイ
という言葉が、まことしやかに使われはじめました
うまい具合に5月に下がったので、解説者は
鬼の首でも取ったかのように、ここぞとばかりに乱用する
わけですが、著書にも書いたように、そもそも、この言葉は米国の市場のアノマリーで、これが日本の相場でやたらと言われはじめたのは、ごく近年のことです
なぜ急に乱用されだしたのかといえば、たまたま、近年は日本の相場に当てはまることが多かったからに過ぎません

この言葉は、ずっと古くからある言葉です。
それが、近年になって、急に頻繁に使われるようになった、ということは、逆説的に言うと
それ以前は、日本市場にはあまり当てはまらなかったので、あまり使われなかった
ということです

ただし、この「当てはまる」というのも、くせものでして、その意味が「5月は下がる」に合致している、という条件での「当てはまる」なんです。

コレが大きな間違いです

そもそも、これも著書に書いたように、この言葉は、本当はここで終わりではなく
秋頃に帰ってこい
という風な意味が続きます
で、これ、要するに
5月だから下がった、セル・イン・メイだ
とか
セル・イン・メイだから5月は暴落するぞ
みたいな論調でやたらと乱用されてますが、全文のニュアンスを見れば分かるように、そういう言葉ではありません

5月に逃げろ、そして秋に帰ってこい
ということです。
もっと分かりやすく言うと
5月以降あたりから、秋口にかけては軟調なことが多いんで、ゆっくりポジションを手仕舞って休んで、秋にでも相場に戻ってこい
というような意味あいです

「5月以降が割と軟調」と「5月に下がる」というのは、似ているようで、全くもって完璧に意味が違います
要するに「さあ5月だ! どかーんと下がるぞ!危険だぞ!」みたいな切羽詰まったニュアンスではなく、「そろそろ、ぼちぼちと軟調になってくるからねぇ、休んだ方がいいんじゃなーい?」ぐらいの、ゆるやかな、ぽよ~んとしたニュアンスです。
あたかも、5月に暴落する、5月に大きく下落する、みたいな感じで、非常に切迫した、危機感をあおりまくるニュアンスで使われていますが、そんなのは大間違いですよ
そんな馬鹿げた話を鵜呑みにしてはいけません

特にここ近年は、アベノミクス相場初期が、5月に暴落したので、人々の記憶には、そのことが残っており、「5月は暴落」という話が、受け入れられやすくなっていますが、ここんところ、よく考えて欲しいのですが
1年は12ヶ月しかないのです
1~4月上昇したあとの5月、という話だとすれば、12-4で、残りは8ヶ月です
いくらなんでも、4ヶ月上げ続ければ、どこかで大きく下がる時期は来て当然で、最低でも一回は下がるとすれば、どの月だって1/8の確率で下がるのです
その程度の確率であれば、なんとなく「この月には下がる」と言っておけば、当たっているように思わせるのは、難しいことではありません。

別に「セル・イン・メイ」ではなくて「セル・イン・ジューン」でもなんでもいいんですよ
適当な解説者の流儀にのっとって、うまく条件を抜き出せば、それらしい集計はいくらでも出せます

ちなみに、昨年のことは考えないとして、1~4月が上昇して下落する、というのは、もうひとつのポピュラーなアノマリー
相場は三ヶ月周期である
というのと、著しく矛盾していますね

ちなみに、この言葉を正しいニュアンスで捉えると、手元に月足のチャートが見られるソフトがあれば、すぐ分かると思うんですが、別に近年でも、日本の相場には「セル・イン・メイ」が当てはまっているとは、あまり言いにくいです