トレーダーズ・グレイル

トレードの世界を探求するプロトレーダー増田蔵人の気まぐれ更新ブログ 本当に勝てる投資家になるためのブログ

2017年07月

待つという技術 3

本当に、ここ数ヶ月の日経平均には動きがありませんね。

私は、7月末あたりには、どちからに動くと踏んでいたんですけど、ハズレましたw

日経平均先物に至っては、一ヶ月の上下幅が500円も行きません。

これほどの膠着相場は、ちょっと記憶にない、という印象なんですけどね。
ラジオで言ってたのを聞きそびれたのでハッキリ覚えてないんですが、こんなに動きが少ないのは1980年か86年以来だと言ってました。
まあ、年はともかく、歴史的にまれなぐらい、動きが少ない膠着相場である、というのは確かなようです。

夏は日本相場の主役である欧米人投資家はバカンス休暇に入りますし、益々、薄商いとなります。
商いが薄いがゆえに、どちらかに振らされやすい、という可能性もあるんですが、全く動かない可能性もありますねぇ。

先に500円、と書きましたけれど、それはあくまでも場中の高安値での話です。
終値だけで言えば、もっと値動きは狭いですし、その全部をトレードで取れるわけは当然ないので、こんな小さな動きで利益を上げようというのは、相当に難しいと言わざるをえません。

けど、これ、言い換えるとボックス圏なんです。

あ、少し話が脱線しますけど、私は日経平均指数よりも、先物のチャートをメインで見ているんですが、形状はボックスというより、次第に値動きが狭くなって「ペナント」状に見えます、もう旗の先端に達してますので、そろそろどっちかにブレイクするかもしれません。

脱線しましたが、ある意味、ボックストレードは「簡単でオイシイ」のです。
が、FXで経験がある人なら分かるように、ボックストレードは非常に「怖い」のです。
FXでは、一日の中で、しばしばボックス圏内で価格が動くということがあり、ボックスの上限で売り、下限で買う、というトレードをしていると
びっくりすぐるぐらい簡単にウハウハ儲かるんですよね
ついつい
これは凄い、俺は天才じゃないか、と思っちゃったりします(笑)

ところが、ボックスといっても、当然厳密にいつも上限下限は同じではないので、その「ズレ具合」をどう判断するかはトレーダーの主観です。
で、一瞬上にブレイクしたけど、ヒゲを描いてすぐに戻る、というようなダマシのことがしばしばあるのです。
こういう状況になれてくると、次第に「ここはまだ大丈夫」とボックスを越えているのに売り増ししたり、買い増ししたりしてしまうように
いつか、必ずなります。
だいたい、それがダマシではなく、本格的なブレイクでヤラれちゃう、というのが、この
ボックス売買の甘い罠
なんですよね。

だから、ボックス売買はやらないほうがいい、特にFXのデイトレではやらないほうがいいと思います。
このことは、Webで検索してみれば、FXでデイトレードをしている方が多く書かれていますので、やはりみんな一度は同じ痛い経験をしているんだと思います。

もちろん、落とし穴を避けて歩けば、落とし穴には落ちないわけで、その
甘い罠に、はまらなければいい
わけですから、「俺は大丈夫」「僕はできる」と、そういう反論をする人もいると思いますけど
そんな簡単に回避できる心理問題ならば、誰もがボックス売買で億万長者になっているはずだ
ということを考えたら、答えは分かると思います。

つまるところ
ボックス売買で利益を上げるのは、ある一定期間ではとても簡単だが、承久的にボックス売買で失敗せずに利益を上げ続けるのは非常に難しい
ということですね。

ボックス売買を世に広めたと言われるニコラス・ダーバス自身が、この甘い罠にはまって破綻したのではないかとも推測されています。


なんか話がズレてきました、ボックス売買の話題を書きたかったんじゃないんですよねw
ボックス売買はかように難しいので、やはり、ここは待つしか無い、ということを言いたかったんです。

もちろん、個別銘柄は活発に動いているのも多いので、それらをトレードしている人はいいのですが、日経は、かれこれ3ヶ月ぐらい動きがありません。
これだけ長い間、じーっと待つ、というのは、相当に忍耐がいる作業ですが、これが出来るかどうかで、最終的に利益が上げられるかどうかが決まるんじゃないかと思います。

何度も言うように、「待つ技術」というのは、相場で相当に高度な技術のひとつです。
今は待つ技術を試される時間と思って
石の上にも三年
ですね(笑)
じっと我慢の子であった・・・はいすいません、このネタが分かる人はいい歳ですw




臆病者のための株入門

私が投資の聖杯: ~投資常識の嘘~ 本気で勝てるトレーダーになりたい人のためのバイブルで述べたことは、端的に言ってしまえば簡単です。

トレーディングは難しくない。
だけど、その難しくないゲームで、ほとんど誰も勝てない。
その理由は、経済の勉強が足りないからでも、勝てる方法論が見つからないからでもない。
トレーディングで勝つには、簡単な方法で充分だ。
だけど、その簡単な方法で、ほとんど誰も勝てない。
その理由は、ほとんど全てのトレーダーが、一貫して正しい行動が取れないからなのである。

ということです。

そして、その誤った行動を引き起こす原因は、潜在意識に深くすり込まれた、投資に対する誤った認識、間違った考えにある。
だから、正しい行動を取れるようにするためには、その問題を「意識レベルで」認識し、潜在意識の認知を正しく書き換える必要がある。

ということでした。
こうした話を端的に例にすれば、たとえば

誰もが、どんな駄本にでも「投資で勝ち続けるためには損切りが重要である」と書かれているのを読んでいるし、そのことにはすぐに納得する。
だけど、なぜか、頭では納得していても、その損切りが正しくできる初心者はほとんどいない。
その理由は、むろん「損をするのが怖い、嫌だ」からなのだけれど、これが初心者の誤った行動を引き起こす認知だ。
もしも、「損切りが、将来の大きな利益に繋がる布石である」と潜在意識で強く認識していれば、損切りは容易に出来るようになるだろう。
そして、事実、トップトレーダーが、いとも簡単に損切りしているように見えるのは、経験的に「損切りが利益に繋がる」という認知を潜在意識の深くまで持っているからなのである。


という例が、分かりやすい一例でしょう。
認知を書き換えるために、多くの誤り、誤解、嘘を、なるべく潜在意識にすり込まれるよう、意図的にしつこく語ったのが投資の聖杯です。

投資の聖杯で書いたような物事は、米国の投資書籍には、それこそたくさん書かれていますし、あそこで使った表現の多くは、海外の本の流用です。
アチラでは、元々、カウンセリング文化がありますので、精神的なものを認めるのに抵抗がありませんし、トレーダーに専属カウンセラーがついているのは珍しくありません。
いかにトレーディングがメンタルなものかを、非常に深く理解していますから、投資の成績がメンタリティに左右されるというのは、「半ば常識」のように認識されています。
行動を左右するのが「信念(潜在意識で強く信じていること)」だというのも、常識的に理解されています。
だから、当然、行動を左右する物事に対する認識を正しく持とう、という本はたくさんあるのですが、日本では、ほとんど、そういう本は見られません。

林輝太郎氏が、著書に何度も「初心者は完全に考えが間違っている。勝てる相場師になるためには、その考えを変えることが重要である」ということを書かれているのは繰り返し述べていますし、これが私の主張と同じことであるというのも説明していますが、他に、こういうことを書かれている方は、ほとんど見かけません。

そうした日本の現状の中で、私がかなり初心者のときに読んだ本で、(後から)素晴らしいと思った本があります。

それは、橘玲 著「臆病者のための株入門(文藝春秋社)」です。
というわけで、今回はこの本の紹介です。

この本は、いわば私が投資の聖杯の中で書いたようなことが述べられている本です。
要するに「考えかたを正しく持とうよ。それで勝てるからね」という本です。

私は、著者の小説を読んだことがありませんし、本当にこの人が投資で儲けているのかは知りません。
末尾にちょっとだけ投資の方法が書かれていて、それに関しては????と思う部分もあるんですが、少なくとも書かれていることからして
分かってるネ
という印象は受けます。

最初に読んだときは、株の入門をうたいながら、全然、株式投資のやり方が書かれていないので「どこが株の入門やねん」と思ったものですが、後から思えば
間違いなく、最も正しい株式投資の入門書と言えます。

私は、かなり初期にこの本を何度か読んで、あえて投資の聖杯を執筆するときに見返さなかったのですが、それは、見てしまうと影響されて、内容がパクリ的に似てしまうのではないか、という恐れを感じたからです。

もうひとつ言うと、この本の文章はとても面白く書かれていて、非常に読み物として面白いです。
私の著書は、文体はナシーム・ニコラス・タレブの影響を強く受けていますが、この読み物としての面白さを真似ているところも多いにあります。

良い本なので、初心者の方にはお勧めの一冊、というより、絶対に読んでおいたほうが一冊です。







冗談のような本当の話

私は、普段は二階建ての家の二階の自分の部屋でPCに向かってトレードをしているんですが、かなりの割合で家事もやるもんですから、トレードの手が離せないときは、ノートPC(厳密にはタブレットPCにキーボードを接続したもの)を一階に持って行って、家事をしつつノートの画面を見てトレードしてたりします。

で、我が家、というか、主に私が(笑)動物大好き人間なので、我が家には猫と犬とフェレットがいたりしますが、この春、もう一匹猫が加わりまして、現在、生後4ヶ月ぐらいの子猫がいます。
子猫なので、そらもう、やんちゃの盛りです。

某証券のトレードソフトで、約定時に「お客様、ただいま約定いたしました」と音が鳴るソフトがある。というか厳密には別のソフトにその音声ファイルを流用しているのですが、先日、何もノートPCを触っていないときに、突然
お客様、ただいま約定いたしました
と聞き慣れた音声が!

えっ? と思ってソフトを見たら、確かに建玉が増えている。

ええっ、ええっ? なんで! としばらく考えてようやく気づいたんですが
走り回ってる猫が、畳の間に置いてあったノートPCのタッチパッドを踏んだんですね

クリック一発で発注できる状態になっていて、ちょうどカーソルが発注ボタンの上に乗っているところを、猫がタップしたんですよ、ノートPCのタッチパッドは、タップでクリックの役割を果たす機能がついてますからね。

しかもね、普段は音量をミュートしてあるんですが、この時はたまたま、ミュートしてなかったんで気づけた、すごい偶然です。

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▲トレーダーにゃんこ。名前は「ふみ」です。保護猫の引き取りです。右目がおかしいのは、小さいときに感染症をわずらったため。治療中だけどこれ以上治りそうもないです。
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▲おまけのサンショウウオと猫。絶妙。

私はPCマニアというか、よく他人からは「マニア扱い」されるんですけど、実はそうじゃなくて
極端な面倒くさがりなんです。
PCって色々面倒くさいじゃないですか、だから、なるべく面倒じゃないようにカスタマイズしたい、そうすると、自然と深いところまで覚えてしまうので、マニアみたいになるんですけど、単なる面倒くさがりです(笑)
多少のカスタマイズの手間で、何年も便利に使えてしまうなら、そっちのほうがよっぽどラクチンだろうと。
私に言わせれば
Windowsをデフォルトのまんま使ってる人のほうが、よっぽどマニアだと思います、あんな面倒くさいもんを、そのまま使えるのはマニアだろう。とりあえずインストールしたら最初にレジストリいじれよ、と(笑)

なので、たとえばテンキーパッドをワンタッチするだけで、よく使うアプリが起動するようにしてたり、いろんなことをしてあります。
普段使うソフトはキー一発でだいたい起動します。
ファイル管理なんかも専用ファイラーを使ってるんで、私はWindows3.1の時代から「エクスプローラーというシロモノを一度もまともに使ったことがありません(笑)」というぐらいですが、ファイラーはキーボード一発でファイル消去できたりするんですよね。
要するにですね、面倒くさがりなので、クリック一発、タップ一発で何がが起きるような仕様にしてある部分が多いということです。

で、フェレットというのは、隙あらばどこにでも上ろうとする生き物でしかも実はものすごく賢いので、どう防御しても、すぐ突破方法を見つけたりします。
なので、気づくと机の上にフェレ乗っていて、キーボードやマウスを踏まれて
知らない間にファイルが消えてた
なんて悲惨なことは、今までに何度もありました。

けれど、さすがに
動物にトレードされたのは初めてですわねー(笑)

しかもですね
FXだったんですけど、その直後に下落して、ウリスタンスだったんで、だいぶ儲かっちゃったんですよね(笑)

すげえな、ウチの猫!

冗談のような本当の話でした。



・・・いやね、よく思い出すと、これまでも、何か記憶にない建玉があったりしたことがたまにあったんですが、ずっと前に指値注文出しっ放しで忘れてたのか、とか思ったりしてたんですが
ひょっとして、アレも猫の仕業だったのかも。






待つという技術2

相場では「待つ」ということが非常に難しい、それゆえに、「待つ」ということは高度な技術である、と述べていますけれど、本当に「待つ」というのは難しいと思います。

たとえばデイトレードであれば、毎日売買しないとお金にならないわけです。
当然、そこには「早くやりたい」という欲求と「やらないといけない」という強迫観念のようなものがあり、体がトレードをやろうとする動きを抑えられなくなったりします。
特に専業トレーダーであれば、やらないことには儲からない、儲からないと生活できないわけで、当然、やらないといけないという思いは強くなります。

ともすれば、いらない段階でうっかりと仕掛けてしまったりして、結局は損を増やす、そういうことを繰り返して、結局は損を増やすということを分かっているのに、またうっかりやってしまう
だいたい、こんな感じでしょう。

完全にバイアスを無くして冷静に相場を眺めていれば、長年相場を見ている人が(だいたいでよければ)天井や底を見極めるのは、実はそれほど難しくはありません。
でも、そこにひとたび、心理的バイアスが加わると、全くうまく判断ができなくなりますから、駄目なときに仕掛けてしまったりしがちです。

私は投資解説者は害毒そのものであると思っていますが、時に彼らの判断がよく当たることがあるのは、実に皮肉なことに「彼らが投資のプロではない」からなのです。
自分で投資して生活していないから、余計なバイアスが少なく、時には正しく物が見られるわけです。
ま、それでもそう当たりませんが(笑)


さて、デイトレードはタイミングが大事なんですが、そのタイミングを待つのが難しい。
そもそもデイトレは一日で完結という縛りがある以上、時間が過ぎるほど「終わり」が近づくわけで、まだ一回もトレードしてないと焦りも加わります。
デイトレードのやり方によっては、タイミングが来ず、何日もトレードしない場合もあり、それが正しいやり方なのですが、そういう風に待つのは、とても難しいですよね。


前に書いたように、だからそういうときに、ゲームでも娯楽でもなんでも、とにかく自分の興味をひくことで気をそらす、というのは、それなりに有効な手段だと思うのですが、これも書いたように、それが建設的なものでなければ、特に「サボっている」という感覚になりがちで、うしろめたさのようなものもつきまといます。

要は、トレードしていれば、こうした焦り、うしろめたさ、欲求のようなものは軽減されるわけですが、そういう意味でも、分割売買は有効な手段だと思うのです。


たとえばスイングトレードでずーっと買い場を待っているとして、何ヶ月も待ち続けていると、しんどくなってきますね。
ここはまだ底じゃないだろう、もうちょっと下がるだろう、と思う
あまり、仕掛けるべきところではないと、冷静な自分が脳内でささやいている(笑)
でも、「やりたい自分」の我慢が限界に達している。

こういうとき、おそらく損をすると頭では分かっていても、1単位だけ買って見るんです。
それで欲求も不安もある程度解消できるし、冷静さを取り戻すことが出来る。

もちろんずーっと何もしないでタイミングを待てるならそれに超したことはないんですが、それがきちんと出来る人間は、なかなかいません、それがトレードというものですので、多少の損は覚悟で買ってみる。

そこから、それほど下がらないようであれば、その1単位を元にして、分割で数を加えていくことで、将来的には本玉にすることもできます。
結果的に、最初の1単位が「ためし玉」「さぐり玉」的なことになるわけですが、この場合は、最初はそういう意図で建てているわけじゃなくて、あくまでも「やりたい欲求」解消のためですね。

あー・・・・いつも思うんですけど、トレードのこういう話「やりたいやりたい」「早くやりたい」「やりたいのが我慢できない」「欲求が」みたいなことを書いてると、何かエロい話を書いてるようで怪しい気分になりますな(笑)

むろん、損切りしなきゃいけない場合もあるでしょうが、そこはそれ、上記のような問題を理解した上で、いわば「治療薬」として建てた玉なので、必要経費の治療費として割り切るんですね。
まあ、その割り切りがまた難しい、という問題があって、キリがないんですけどね(笑)






自己実現

先日、ラジオnikkeiのとある番組を聴いていたら、何かの雑誌の編集長だかデスクだかが、書籍を紹介するコーナーで、その内容に関して「自己実現」という話をしていたんですね。

その本や内容のことはどうでもいいのですが、その人が、こういうことを言ってたんです。
”投機は違う”けれど、投資は自己実現の手段である

ここで「投機」と「投資」が同義か、それとも別物か、という議論は避けますが、少なくともこの人は違う意味で言ってます。

この人が「投機」というのは、要するに即物的で単なる金儲け的な意味合いのことです。
「投機は違う」というのは、単なる欲望による金儲けだから、「自己を高めるものではない」ということを言っていたわけです。
それに対して「投資」は企業の財務を調べたり、色々な物事を調べ勉強するから、「自分を高めるのに役立つ」ということを言っているわけです。

早い話が「投資」が上で「投機」が下ということです。
こういう「投機は金儲け主義だから駄目」「投資は企業や財務や社会のことなんかを学ぶからエライ」的な認識というのは、自分で投資で稼いでいない頭でっかちのインテリに典型的な物言いなんですけれど、私に言わせれば、何おためごかし言ってんだ、って感じです。

投資だなんだかんだ言ったところで、オマエラの目的だって金儲けだろ? って。

投資してる人の本心だって、ほとんど全員が「金儲けしたい」で、もしも一攫千金で1億儲かるなら、手段なんか投機でもなんでもいい、というのが、ほぼ全員の本心でしょう。
別に企業や社会や金融のことを学ぶ目的で投資やってるわけじゃないですよね。
「投資はエライ」とかなんとか言ったって、楽して儲かる手段があったら、誰もそんなもん勉強しませんよね?

要は、投資は「楽して金儲ける」ことだという誤った認識があるから「うしろめたい」んですよ、その「うしろめたさ」を誤魔化すために、「投資は経済や社会や企業や金融を勉強するからエライ」みたいな論理を彼らは作り上げるわけです。


ま、そこのとこに怒ったんじゃなく、「投機は自己実現ではない」という物言いに怒ったんですが、正直、久々に投資ラジオで、ものすごくムカつきました。
ふざけんなボケ、と。

この人の言い分とは全く正反対に、著書に書きましたけれど、欧米のトップトレーダーというのは、インタビュー記事でしばしば、トレードをする最大の動機として
自己実現
を上げているんですよ?
彼らのやっていることは、この人の言うところの「投機」です。

要するに、私は努力すればこれだけのことが出来る、自分はやれば出来る人間なのだ、なんだって可能なのだ、などということを、世の中と、特になによりも、己自身に対して証明したいという強い欲求が、トレードを必死で頑張る原動力になっている
というわけです。

この人が分かっていないのは、この人が言う「投機」で儲けられるようになるためには、それはもう、血のにじむような努力が必要で、必死の努力で練習を積み重ねて技術を高めていくことが必要だ、ということで、それは技術的な物事であるから、単なる知識学習であるファンダメンタルズ学習よりもずっとハードルが高い、ということです。

そもそも、目的が「金儲け」である以上、学習量や学習過程に「自己実現感」を感じていたらおかしいわけで、投資成績が「稼げていて」はじめて、自己実現感を感じるわけですよね?
言い換えれば、手段が投資であれ投機であれ、努力の結果が稼げているなら、自己実現感を感じるわけで、投資はよくて投機はよくない、なんてのは支離滅裂です。

もしも、知識や情報を大量に得ることでカシコクなった気分、自分が高みに上った気分で満足しているならば、それは本来の「手段」だったものが「目的」にすり替わっているわけで、そういうのは「自己実現」ではありません、
そういうのは
「自己満足」
というんです。

スポーツであれ楽器であれ料理であれ造形であれなんであれ、努力によって技能を高める作業を繰り返した後に、あるレベルに到達したときの感動というのは、世の中で
最も自己実現感を満たしてくれる物事
のひとつです。

すなわち「投機」は、ある種の人々にとっては、自己実現のための非常に有効な手段のひとつなのです。

そんなことも分かってない人がデスクだか編集長だかをやってる雑誌は、ちょっとろくなもんじゃなさそうだな、と感じました。





オーナー紹介 増田蔵人
フリーで造型、PC関係等の仕事を多岐に渡り担当、関連雑誌等のライター。本名で著書が十数冊ある。
投資歴は30年。近年ライターとしての仕事が激減したため、プロトレーダーとして生計をたてるに至る。
2015年、ライター生活の集大成、トレーダー啓蒙書『投資の聖杯 ~投資常識の嘘~ 本気で勝てるトレーダーになりたい人のためのバイブル』を電子書籍でリリース。
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