トレーダーズ・グレイル

トレードの世界を探求するプロトレーダー増田蔵人の気まぐれ更新ブログ 本当に勝てる投資家になるためのブログ

色々整理

我が家は毎年、年末になると大掃除をします。

大掃除すべきなのは、家だけではなく、トレードの情報も同じではないでしょうか。

著書にも書いたように、初心者の大きな勘違いのひとつが
情報が多いほど勝てると思う症候群
です。
実際のところ、情報というのは、まともに使いこなす能力がない限り誤ったバイアスを生み破滅へと導く恐ろしい罠です。

ぶっちゃけ、大量の情報を集めてプロ顔している人でも、その全ての情報が本当に必要で、本当に活用しているのか、といえば、おそらくノーでしょう。

相場師は、情報は少ないほど良い、と述べていますが、その境地に行き着くまでに、ほとんど誰もが「情報を選択し捨て去る」作業を繰り返し行います。

ミーハー投資本を捨てるのは、その最たる例です。

いまだに、こうした整理段階は、私も続いています。
今年は、昨年までつけていたデータの6割ほど、チャートの多くを、去年の年末でつけることをやめました。
むろん、「やめても支障ない」と判断したからですが、実際、やめてからも、特に成績に変わりはありません。

著書に書いたように、データの大半は、本当にきちんと考えれば、「トレードに役立つ」わけではないものばかりなのですが、だから駄目だというわけではなく、毎日のデータつけなどのルーチンワークは、それよりも
プロ意識を養うため
に役立つので、ある程度初心者の方には、必ず行うようにお勧めしてます。

ですが、慣れてきたら、不要なものは捨てて良いのです。
著書に書きましたが、私なんか元プログラマーで自作投資ソフトを作っていたので、初心者のときは各種テクニカルの意味はもちろん、演算方法まで覚えてましたが、そんなもん不要だと悟って忘れる努力をした結果
今じゃ綺麗さっぱり忘れてしまいました(笑)
初心者に聞かれたら、難しいのはすぐに答えられないので、「馬鹿だコイツ」と思われると思いますね(笑)

いいんですよ、そんなもんなくても。
だって、なくても儲かるんですから。
トレーダーというか、世の中の多くの人が間違っているのは、「知識が多いほどエライ」という思い込みです。
我々個人トレーダーからすれば、テクニカル分析を100個緻密に説明できるMIT出身のアナリストと、中卒で難しい漢字も読めないぐらいアホでも毎月投資で稼いでる人と、どっちが尊敬できるかっていったら、絶対に後者ですよね。
テクニカル分析を何個知ってようが、ただラジオで喋ってるだけみたいなヤカラには用はないんです。
国際テクニカルアナリスト協会の資格なんて意味の分からないものがありますが、国際テクニカルアナリストの人たちが大金儲けて億万長者になったー、すげー! って話、全然聞きません。
そのことを考えたら、テクニカル分析そのものを熟知していることと、稼げるかどうかは全然関係ない、ということがすぐ分かると思います。





トレードにおける目標とは

前回、「目標の金額は身の丈にあったものにしましょう」みたいな話を書きましたけれど、ちょっと補足です。

いくら稼ぐ、という目標を持つのが悪いことではありませんが、これはあくまでも
究極的な目標
というか
一番大きな目標
ということです。

これだけが目標ということでも、目標は金額にしろということでもありません。

初心者は、必ず、別に具体的な目標を持つべきです。

目標で「百万円稼ぎたい」とか言うのは、何の目標も持ってないのと同じです。

こう考えてみてください。
トレードが練習によって上達する物事である、という前提に立つなら、たとえば「100万円を稼ぎたい」というのは、ギターの練習を始めたばかりの素人が「武道館でライブしたい」というのと同じです。
いや、1億円が「武道館」だとしたら、100万円は「ライブハウス」ぐらいかもしれませんが、それにしたって、初めてギターを弾く人が、いきなり「目標がライブハウス」というのは、当面は実現可能な具体性のある目標とは言えず、ほとんど夢物語、単なる「希望」に過ぎず、何も目標を持っていないのと変わらないでしょう?

そういう「大きな目標」を持つのは悪いことではないですが、それだけでは、何の具体性もありません。

とりあえずの到達点を「ライブハウス」にするとしても、じゃあ、そのライブハウスに到達するには、どうすればいいのか、と考える。
当然、まずは、ギターが上達しなければいけないわけですよね。

じゃあ、その上達をもっと具体的に分解すればどうなるのか、といえば、たとえば「Fコードがきちんと押さえられるようになる」などという目標になるわけです。

そうした小さい目標をいくつも達成していくことで、いずれは、「ギターが上手になった」というところに行き着くし(まあ、私は何年弾いてもヘタですけどw)、いずれはライブハウスという大きな目標に到達するわけですよ。


高校球児の最終目標は「甲子園」で、もっと言えば「甲子園で優勝」でしょうけれど、いきなりそれだけ目標にしても「アホかお前はホラ吹きか」と言われちゃいますよねw
それとは別に、もっと小さい県大会優勝とかいう目標があったり、更に小さく、まずは初戦に勝つという目標があったり、もっと小さく、バッティングの技術を上げるとか、カーブを投げられるようになるとか、当面の具体的目標があるわけですよね。

それと同じで、トレードの目標というのは、なるべく細かく割る方がいいです。
つまり、FコードならFコードの練習ばっかりする、野球でバントの練習ならバントを極めるまで練習する、というように、トレードの「技術」も、ひとつづつ、細かく練習していくほうがいいです。

たとえば「押し目買いのテクニックを上達させる」という目標を持って、そればっかりやる。
トレンドが明確な時期でも上昇と下落があるし、ボックス圏の動きもある。
その全部をいっぺんにやるんじゃなくて、その中で、まずは上昇トレンドをきっちり取れるように練習し、ボックス圏の練習をするのは、上昇トレンドに自信が持てるようになってから、など。


あるいは、あなたがもしも極端なあがり症ならば、ライブのためには、あがり症を克服するのが第一の目標になるかもしれませんよね。
これなどは直接演奏の技術とは無関係ですが、ライブをやるには大事ですよね?

トレードも同じことで、トレードの技術とは関係なくても、たとえば「やたらせっかちな性格である」としたら、それを直さないとトレードで勝つことはできません。
そんな風に、トレードが心理的な要因のものである以上、必ずしもトレードと関係ない事が、トレードの勝敗に大きな影響を及ぼしますので、それも修行すべき事柄です。

というより、著書にも書いたように、トレードの仕組みは買うか売るかしかない極めてシンプルなものですし、トレードで「勝つためにやるべきこと」は極めてシンプルで構わないにも関わらず、それで勝てない人が大半なのは、要因のほとんどが「トレーダーという人間」にあるからです。

だから、トレードでは、むしろ修行すべきは「トレードの技術以外」の部分のほうがずっと多い、とさえ言ってもいいかもしれません。


少し話を進めると、そういうことを繰り返していくと、いずれ
自分が苦手なところ
というのが分かってきます。

そのへんをどうするのか、というのは、個人個人の好き好きだと思います。
つまり、いっそのこと苦手だからやらない、と決めるのもひとつの手だと思いますし、逆に、苦手だから克服するまで重点的に練習する、というのもひとつの手ですね。
得意技をひとつ作って、それを重点的にやる、そのテクニックを磨き上げる、というのも、ひとつの手だと思います。
私は、日経平均がダメダメな低迷を続けていた頃は、「売り相場専門」でやっていたことがあります。

もちろん、苦手がないほうが、どんな場面でも常時儲けることは出来るのですが、トレードが上手ならば、必然的に「やるべきではない時間を待つ」技術が発展していくから結局はトレードしない時間が出来るでしょうし、苦手なときは指をくわえて見てるだけでも、充分に儲かるとは思います。





トレーダーは地道な職業

世の中で、漠然と投資を捉えている人は、投資とはギャンブル的なもので、当たれば一攫千金、というようなイメージを持っています。

また、よくメディアに「投資で3億円稼いだ」などという人が登場するために、余計にそういうイメージが固定しています。

一応、職業としてトレードをしていると、何か「もの凄い稼いでる」と思われがちなんですが、全然そんなことはありません。
というか、誰しも、なんとなくレベルでは「一攫千金、億円単位で儲かったらいいなぁ」という希望を持つ、夢を持つのは当然なのですが、現実的に考えて、それが可能か、というと、また話は違ってきます。

私にもそういう希望がありますが、正直に言うと、私は
ものすごい小心者なのです(笑)

理論上、100万円儲かるトレードができる技能があるなら、当然、その建玉を10倍にすれば1千万円儲かる、100倍にすれば1億円儲かるわけです。
しかし、理屈はそうなのですが、人間というのは面白いもので、100万円ならちゃんとトレードできても、1千万円ならばうまくいかない、ということが往々にしてあります。
もちろん、これは心理的な問題によるもので、言うなれば
トレードのスケールが身の丈に合っていない
から起きる問題です。

私の場合は、千万円単位なら、まだなんとか(精神的に)大丈夫(かなりあやしい)だけれど、億円単位になったらもうヤバい、という「身の丈」です。
それも、通常目指しているのは「普通に苦労しないで生活できるだけの稼ぎ」という欲のないもので、たまたま相場状況が良いときは、大きく儲かることあるので家を建てたりしましたが、あくまでもそれは「偶然の幸運」に過ぎず、目指したものではありません。

たとえば宝くじで億単位のお金を当てた人の多くが、その後に生活がおかしくなって破綻するとか、トレードで偶然億単位の利益を上げた人が、その後破産した、などという話は、非常によく聞く話です。
メディアというのはプラス面にしか光を当てませんので、「宝くじで3億円当たっていいなぁ」とか「トレードで何億儲けていいなぁ」と思わせるような話ばかりが出てきますが、そういう人の「その後」を詳細に調べると、大半が破綻していたりします。
実際、宝くじで高額賞金を当てた人の、人生の破綻率は非常に高いのですよね、破綻しなくても、嫌になって最後には慈善団体に全額寄付した人とかたくさんいます。
そういう事実からしても、私に限らず、ごく平均的な庶民の一般水準として「突然の億単位」は、「身の丈にあわない大きさ」と言えると思います。

たとえば事業を興してじっくり稼いでいき、次第に億円に近づくなら、同時に耐性もできていくのでしょうが、あまりに急激に億円儲かると、心理がついていかなくなります。

もちろん、何億円を取り回しても、全然平気なトレーダーもいますけれど、そういう人はあくまでも特殊な人種だと思うべきで、果たして
自分にあう身の丈はどのぐらいなのか?
ということは、きちんと考えるべきでしょう。

そもそも、資金が数十万円しかないのに、億単位を儲けたいなんて初心者の希望はどだい強欲が過ぎる話です。
著書にも書いたように、プロの相場師でも年間10%儲かれば相当に「良い」、30%は幸運の産物、などというレベルですから、資金が500万円なら、50万円の利益、その程度のレベルを目標とすべきです。
あくまでも「目標」の話で、それ以上稼ぐな、という意味ではありませんから、50万円を目標にしていたら1千万円儲かることもあるでしょうが、1千万円を目標としてはならない、ということです。

また、トレードというのは「うまくいく時期」というのが必ずありますから、そういうときは、かなり早いペースで資金がどんどん増えていきます。
こういうときは、金額の大小にかかわらず、自信過剰になって欲をかき、注意しないと必ず失敗しますので、あえて目標を小さく持つべきです、稼ぐというより「この増えた資金を減らさない」というぐらいでちょうどいいと思います。

いずれは億円稼ぎたい、という「夢」を持つのは当然良いですし、私もバフェットのような億万長者になりたいですが、「夢」はあくまで「夢」で、「目標」は違います。
いや、最終目標が1億円というのは、ある意味で切磋琢磨する原動力になるので良いのですが、それはあくまでも「最終」であって、「当面の目標」は別に設定すべきです。
資金が50万しかないなら、まずは100万を目標とするべきで、次は500万、1千万、と段階的に引き上げていくべきなのです。
少しずつ増えていけば、同時に金額に対する精神的な耐性もついてきます。

自分で言うのもなんですが、小心者の私が、長くトレーダーを続けられるのは、この「身の丈にあった目標を持って、欲をかかない」ためだと思っています。
もちろん、初期には身の丈にあわない目標を持って、何度も大損失をやらかした経験があります。

トレードに「強欲」は絶対に御法度で、面白いことに欲を出したとたん、たちどろころに失敗するのがトレードというものなのです。

急がば回れ
という言葉もあるように、ゆっくり地道に進んでいくことが、結局はゴールへの一番の早道だと思います。



ただし、注意してください。
井上陽水の歌に
「限りないもの、それが欲望」
という歌があります。
トレードの世界では、3億円を目標として3億円儲けた人は、ほとんど全員が、そこで引退しません。
3億円儲かったら引退して悠々自適の生活を送るよ、などと宣言していた人でも、まず引退はせず「3億儲かったんだから、次は10億儲けよう」となるのがトレードの欲望泥沼世界なのです。
そうして、最後は破産した人、自殺した人がどれほど多いかは、
4度以上の破産を経験し、「私の人生は失敗だった」と書き残して最後は拳銃で頭を撃ち抜いて自殺した、伝説のトレーダー、ジェシー・リバモア
の例を引き合いに出すまでもないでしょう。





オーナー紹介 増田蔵人
フリーで造型、PC関係等の仕事を多岐に渡り担当、関連雑誌等のライター。本名で著書が十数冊ある。
投資歴は30年。近年ライターとしての仕事が激減したため、プロトレーダーとして生計をたてるに至る。
2015年、ライター生活の集大成、トレーダー啓蒙書『投資の聖杯 ~投資常識の嘘~ 本気で勝てるトレーダーになりたい人のためのバイブル』を電子書籍でリリース。
最新コメント
ツナギ売買の入門と実践 [増田蔵人 著]


  • ライブドアブログ