トレーダーズ・グレイル

トレードの世界を探求するプロトレーダー増田蔵人の気まぐれ更新ブログ 本当に勝てる投資家になるためのブログ

騰落レシオの話

最近、続伸し続ける日経平均に対して
でも、騰落レシオはそろそろ下がるからね
みたいな説明を聞くようになりました。

むろん、この話の論旨は
だから過熱感が解消されるので、買いやすくなるだろう
とか
だから、まだまだ上がっても不思議は無い
ということです。

まあ、早い話
上げて欲しい希望バイアスがまずはじめにありき
で話が始まっているわけですが、その点れはともかく、この話は、もうひとつ、
典型的な解説者脳
による誤った説明なのですが、それは何かというと
まず、最初に指標ありき
で話がはじまっていて
それによって過熱感を感じる
という道筋が出来ている話なわけです。

こういうのは、本末転倒ですよね?

こうした指標が売買を動かすかどうかという議論はまた一考の余地がありますし、その点は著書で詳しく考察していますが、それと「相場説明の筋道」というのは、別の話ですよね。

多くの調査が示すように、投資家の大半が物事を感じるのは、実は
日々の価格からであり、指標などではないのです。

つまり、過熱感というものは、指標の数字が高いから過熱感を感じるのではなく、
毎日、ガンガン上がっていく価格を見ているから、漠然とした過熱感を感じてしまう
というのが正解です。
その感覚が事実であるのか、思い込みであるのかは、指標を見れば分かります。
客観的に集計した値が、指標であって、それはあくまで参考値です。
初めに指標ありきではなく、
指標はあくまでも後からついてくるもの
なのです。
結果です。

解説者脳というのは、この前後関係が常に見事に逆転しているのが特徴です。

常に
はじめに指標ありき
で物を言います
そこから、話が始まるわけです。
指標がこうこうこうで、このパラメータがこうで、この数字がこうだから、価格がこうなる、などという、ともすれば、主体のはずの価格動向が「おまけ的な結果」になっている説明をします。
こういう馬鹿馬鹿しい説明を毎日聞いていると、だんだん、勝てない脳みそが出来上がっていきますので、なるべく聞かないようにしましょう。

逆張りとか順張りとか

先日、投資のラジオを聞いていたら、解説者が
上昇相場では、個人は逆張り、売りが多い
みたいな話をしてました

これは、実際そのとおりなので、なにげなく聞き流していたのだけど、どうも、そのまま聞き続けていると、話がおかしいんですよ

あれっ? えっ?

と思って聞いていると、だんだん意味が分かってきた。

要するにその人が言っている「売り」というのは
こういう上昇相場では、個人は、それまで持っていた建玉を、利益確定で買早めに売ってしまう
という意味だったんですね。

で、「逆張り」という話は、上昇相場で、少し戻したときに
逆張りで買う
という話だったんです

この「逆張り」という認識は、普通は「順張りの押し目買い」ということに相当しますから、逆張りじゃないんですが、この人の中では逆張りである、ということで、まさに著書で述べたように、単にこういうのは
個人的な主観の問題である
ということが如実に表れてます。

もうひとつ、この話がなかなか意味が分からなかった理由は、一般的に
日本市場の個人は逆張りを好む
と言いますが、これはむろん、仕掛けのことを意味しています。
つまり上昇相場なら、「空売り」です。
この人のように、「手仕舞い」を意味するというのは、話のニュアンスとして、かなりおかしかったです。

現在の上昇相場を牽引しているのが、これまで空売りしていた個人の買い戻しだという論があります。
実際、信用の空売り残が多い銘柄がよく上昇してますし、海外勢は意外と売っているのに、なぜか上がっている、なんて面もありますから、その論には一定の説得力がありますが、ともかく、それだけ、個人は空売りをしやすいわけです。


ここで重要なポイントは、おそらく、問題は、この人が
株=買う、または、空売りする
という認識を持っていない、ということです。
お馴染みの潜在意識レベルの話です。
株は買うものだ
としか心の底で思っていないからこそ、話をはじめると、自動的に、そういう「買い前提」でしかない話になるわけです。

トレードは、常に、買いと売りが認識レベルで同等に存在していなければなりません。
株をはじめたばかりの初心者ならともかく、解説者がこんな認識では、話になりません。
ド素人以下です
だからこそ、私は、繰り返し
解説なんか害のほうが遙かに多いので聞くもんじゃない
と言うのです。


売りの話ついでに、恥ずかしい話をひとつ。
日経平均ミニ先物の話です。
以前から書いているように、私は、この上昇相場で、ゆっくり売りの本玉を作っていっています。
先日、玉をチェックしていたら
確かに売ったはずの価格の玉がない
メールをチェックしてみても、確かに約定メールが来ているし、手仕舞った覚えもない。
おかしいなぁ、そんなはずはない、おかしいなぁ
と必死でチェックして、やっと気付いたんですが
ミニを売ったつもりで、ラージを売っていた
という
大ポカをやらかしていた(>_<)ヽ

私がメインで使ってるのは、マネックス証券なのですが、このサイト、一部のメニューから「新規注文」を選ぶと、必ず、まずラージのページに飛ぶんですよね、だから、うっかり間違えやすいんです。
著書にも書きましたが、私はいつもミニを使っていて、ラージ1枚がミニ10枚に相当しますが、仮にラージ一枚ぶんを買いたいときも、必ずミニを10枚買うことにしてますから、ラージは絶対に使いません。

幸い、そのときは、あわてて手仕舞って、50万円ほど利益になったんですが、むろん、これは単なる幸運であり
悪い利益
です。
まあ、慣れていると、むしろ、こーいうポカもやらかします、という話です。

これも著書で言ったように、人間ですから、必ずポカはいつかやらかします。
機械的に計算してみたら、トータルで勝てる方法だからOK、なんていうのは、およそ、非現実的なのです。
人間のミスを考慮に入れないシステムは、実践に耐えません。
長いトレード人生の中には、小さなポカもたくさんあり、時には大きなポカもあります。
そうした失敗を含めて、全体で利益にならないと、現実のトレードは成り立たないのです。

銘柄選びの重要性

著書に書いたように、投資では
銘柄を選ぶべきではありません

というより、銘柄選びは、勝つための方法論なんかでは、まるで「無い」ということです。
銘柄選びは、より良い結果を出すために、プロがより良い楽器、より良いゴルフクラブを選ぶということであり、決して「良い楽器があれば、誰でも名演奏ができる」わけではありません。
初心者投資家が完璧なまでに誤っているのは、「素人の自分でも、良い楽器さえ持てば、プロの演奏ができる」と思い込んでいるところです。

本当に勝てる投資家になりたいならば
ランダムに選ばれた銘柄でも、利益が上げられる技術、実力を持たなければなりません
銘柄選びは、あくまでも、まず、その実力があり、その上で、よりベストに実力が発揮できる場を選ぶ、ということです。

詳しいことは、著書に書いているので省きますが、こういう話の前提は
投資に参入するほとんどの初心者の望みは、たくさん稼ぎたい
ということであり、それは
なるべく短期間で稼ぎたい
という願望です
初心者投資家の大半は、そうした希望を持っているので、著書で前提としているのは、そうしたトレードを行う人を対象とした話です。
長期トレードについても、分散投資についても、別枠で解説しましたが、ひとつ書き忘れたことがあります。
これはとても申し訳なかったのですが、完璧に頭がそこにいきませんでした。

それは何かというと
銘柄選びなんか、まるで重要ではない
という根本的な主張には変わりないのですが、ひとつ例外がある、ということを書き忘れました。

それは何かというと、長期投資と似ているようで少し違うタイプの長期投資をする場合、です。
ここで言う長期投資というのは、いわゆる、長期の結果、商品を売却するときに利益がでる、というタイプの投資ではなくて
配当であるとか、スワップであるとか長期間の間に確実に発生する地道な収益を得るため
のものです。
分散投資とも似ていますが、いわゆる長期投資、分散投資は、最終的に金融商品の売却利益を得ることが主体ですが、このケースでは、配当などを得ることが目的であり、最終的な売却価格は気にしない、というところが違います。
最近では、よく「自分年金」なんで言われるようなアレですね。
こういう場合は、いくら配当が欲しくても、無配当の銘柄を選んだら意味がありませんから、むろん、選択する銘柄がものを言います。
年金的な、地道で確実な収益を得たいわけですから、売買は、積み立て的になっていきますし、そうそう銘柄は入れ替えません、そういう意味で、最初の銘柄選びはとても大事です。

これも極論するなら、本当にトレーダーに実力があるなら、ずっと生活できるだけの利益は得られるはずです。
頑張れば、老後の資金までちゃんと稼げるはずなので、心配することもないのですが、いくら頭では分かっていて、そうは言っても、現実には不安がつきまとうのが人間です。
そうした一種の安定収入のようなものは、とても魅力的であると思いますから、短期トレードをしつつも、そうしたものを組み立てていく、というのは、悪くない選択だと思います。
重要なのは、それによって「安心感」が得られるということで、精神の健全性が保たれるならば、それが、短期のトレードにも、ポジティブな影響を与えるだろう、というところです。

ただ、だからといって、他のトレードと同じで、安直に投資解説者や投資売文家などの
メディア芸人
の言うことに飛びついてはいけませんよ。確実に損します。

オーナー紹介 増田蔵人
フリーで造型、PC関係等の仕事を多岐に渡り担当、関連雑誌等のライター。本名で著書が十数冊ある。
投資歴は30年。近年ライターとしての仕事が激減したため、プロトレーダーとして生計をたてるに至る。
2015年、ライター生活の集大成、トレーダー啓蒙書『投資の聖杯 ~投資常識の嘘~ 本気で勝てるトレーダーになりたい人のためのバイブル』を電子書籍でリリース。
最新コメント
ツナギ売買の入門と実践 [増田蔵人 著]


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