トレーダーズ・グレイル

トレードの世界を探求するプロトレーダー増田蔵人の気まぐれ更新ブログ 本当に勝てる投資家になるためのブログ

ハンセンと雇用統計

先日、アメリカの経済統計が予想外の悪化に対して、解説や説明ではネガティブな反応が多かったという話を書きましたが、いざ蓋を開けてみると、市場そのものは、そうした解説に反してプラスで反応してきました。
ある意味で、これまでの「利上げ時期が早まるとネガティブな反応をする」という話と、整合性の取れる反応ですので、まあ、筋道が通ってよかったよかった、というところでしょうか。

このところ、そんなアメリカの予想外の低迷にばかり目がいってしまうのですが、裏で凄いのがハンセン指数です。
このところ連続で上昇しており、特に直近は2日間で6%以上の上昇となってます。
まあ、チャートを描いてれば分かると思うのですが、ハンセンと上海の指数というのは、ハンセンはほとんどイギリスと言ってもいいアレですが、それでも基本は同じ中国ですので、ある程度の連動性を見せていたのですが、先頃、上海が暴騰して、もの凄く乖離しました。
私は両者のチャートを同じ紙に書いているのですが、並んで動いていたのが、突然、ぐーんと一方だけが離れていくという形になっています。
そういう意味では、いろんな理由は言われますが、ビジュアル的に見れば、出遅れたハンセンが、必死で上海に追いつこうとしているように見えるのです。

手でチャートを書くことの意味は、こういうところにもあります。
個別にスケールが調整されるデジタルチャートを見ていると、この感覚は得られません。
絶対にチャートは手で書かないといけない、というゆえんです。





投資と確率

私は飛行機が嫌いです
以前から、ずーっと
能力も人格も知らない見ず知らずの2人の人間(パイロット)に自分の命を全面的に預けるなんて空恐ろしいことはしたくない
と言ってきました

これは「投資ファンドに大事なお金を預ける」のも同じです、なぜ、みんな平気であんなものにお金を預けるのか、私にはさっぱり理解できません。
能力も人格も知らない見ず知らずの人間が運用するファンドに、大事な命金を預けるなんて空恐ろしいことはしたくない
ですよ。

先日、まさに、私が言ってきた、その通りの恐ろしい航空機事故がフランスで起きましたね
あれは、とんでもない悲劇でした、亡くなられた方々のご遺族の胸中には、計り知れない怒りが渦巻いているのではないでしょうか。

そこで、今日は、飛行機嫌いの理屈を述べてみます(笑)

よく、飛行機を擁護する人は
飛行機事故で死ぬ確率は、交通事故で死ぬ確率よりずっと低いから安全だ
と言います
この話、まず
交通事故というのが、どういう物事を指しているのか、たいてい、言っている方も曖昧だ
というのがあります
自動車を運転して死ぬ確率なのか
自動車の助手席で死ぬ確率なのか
自動車にはねられて死ぬ確率なのか

はっきりしません
という話は、ここではさて置きますが、この比較話は、説得として、理屈がおかしいことにお気づきでしょうか?

第一に、仕事で乗るのは別として、飛行機は、乗らないでおこうと思えば、たいてい、乗らないで済みます。
いや、そもそも本気で避けたいならば、仕事も飛行機に乗る必要がある仕事を選ばなければいいわけで、そうすれば、ほとんど乗ることはないでしょう。
しかし、現代社会で道路を歩いたり、車に一生乗らずに済ますのは、絶対に不可能です。
要するに、飛行機嫌いの人は、「飛行機より車のほうが安全だから車に乗ったり道路を歩く」わけではないですよね?
危ないのは知っているけど、必要だから仕方ないから歩き、乗っているわけです。
それに対して、飛行機に乗るという作業は、かなりの比重が「選択的」です。
意識的に、乗るか乗らないかの選択ができる場面がほとんどだということです。
こんな風に、根本的に違うんですから、そこに
飛行機事故で死ぬ確率は、交通事故で死ぬ確率よりずっと低いから安全だ
と言われも、そもそも、これは根本的に「同レベルの比較の話ではない」のですから、なんら説得力がありません。

第二に、こっちがもっと問題なんですが、これは、自動車と飛行機の危険性を比較していますが、こういうのは、私がよく言う
学者がやらかしがちな机上の空論
です。
私のヒーロー、ナシーム・ニコラス・タレブが言うように、「現実的に普通の人から見て違うなら(あるいは同じなら)、机上の空論なんかには意味はない」のです
現実に即して考えるなら、この理屈は
飛行機に乗らないと仮定するなら、普通は、もしも飛行機に乗っているはずの時間の間、代わりに道路を横断していたり車に乗っているわけではない
のですから、現実に即して考えるならば
両者の危険性を比較して考える
のは、そもそも理屈にあいません。

そうではなく
普段から、ただでさえ危ない交通事故の危険性の上に生活しているのに、わざわざ、更に飛行機事故の危険性をそこにプラスしている
と考えるべきで、この場合、危険性の確率は比較による二者択一ではなく、双方の足し算になるのです。

なんでこんな話をしているのか、お分かりでしょうが、投資で確率だのなんだのを考える人は、しばしば、こうした確率の用い方を誤っている、ということです
計算式自体は正しいのですが、その場面にその確率計算を持ち込むこと自体が、現実に即して考えると、考え方としておかしい、というものです。
原発の安全基準なんてのが、そのいい例です。
現実をよく眺めて見て、現実に即して考えるなら、そんなところでそういう考え方をするのはおかしいだろう、その捉え方は間違っているだろう、という、机上の空論を持ち出している場面はいっぱいあります。
著書にも少し引用しましたが、確率論というのは、今では、まるで揺るぎない当然のもののように使われているが、実際にはいまだに「ゆりかごの段階にある」という議論が多くの学者の間にあるのは、その理論そのものにも疑問があるのはもちろんのことですが、現実にどう用いるかに対して、正しい解がいまだに得られず、誤って乱用されすぎている、という意味でもあります。
初心者は勉強すればするほど、そういう罠に陥りがちですので、注意しましよう。

雇用統計の結果と解説の違和感

昨夜発表された注目の米国の雇用統計は、予想に反して大幅な下振れになりました。
ドル円は、一気に大陰線を引いて円高に振れましたが、米国市場はお休みですので、最初に反応する株式市場は、週明けの日本になります。

ところで、この発表に対する米国の解説は、おおむね
失望
というものです。
実際にどんな反応をするかは、市場が開かないと分かりませんが、説明では
失望売りが出るだろう
ということですが、ちょっと前までの話を考えると、この説明は
相当におかしい
ですよね

だって、少し前までは、相場解説は
金融緩和で上げていた
と言い、
緩和が終わったから下げた
と言い
下げると、「利上げの時期が早まるのではないかと警戒して売られてた」
と説明し
上げると、「弱めの指標を受けて、利上げ時期が後退するんじゃないかと期待されて買われた」
と説明し続けてきてんですよ

だとしたら、今回の弱い指標は、みなさん待望の
利上げ時期延長
どころか、へたしたら、弱すぎるんで
追加緩和期待
みたいな馬鹿げた噂話まで出てくる可能性があって、今までの論調にあわせるなら
ネガティブどころか、完璧にポジティブな材料であるはずですよね

ま、こんな風に、説明というのは、その時々の都合にあわせてコロコロ変わります。
まとめてしまうと、今現在の相場説明というのは
利上げの時期が早まるんじゃないかとビビって下げる

指標が悪ければ(利上げの時期が延びそうならば)ビビって下げる
ということになってます
要するに、何でも下げるんです。
言い換えると、よく下げるので、それに対して、バリエーションを持たせて適当な理由をつけているだけ、なのです。

こういう無茶苦茶な説明は、実は、下落相場が始まった時期には、毎回、よく見られます。
それまで、ポジティブな材料として理由にしていたものが、株価がどんどん下がっていくと、いつのまにか、ネガティブ材料と言うことにすり替わっているという。
なんせ、ずーっと下げるもんで、毎回同じことばっかり言ってたら仕事になりませんから、解説するのに、いろんな理由が必要なんですよね

まあ、実際、相場は人間がやることですから、人間心理は、昨日までポジティブに捉えていたことが、今日はネガティブに感じても、別に不思議はありません。
ありませんが、むろん、解説の変わり身の早さ、無責任さ、いいかげんさというのは、そういう事実を適切に表したことなわけではなく、単に、ご都合主義です。
だから
相場解説なんか聞くな
と私は強く言い続けているのです。
私だけではなく、トップトレーダーの多くも同様のことを述べていますし、日本の相場師は古くから、ずっとそう言っています。

オーナー紹介 増田蔵人
フリーで造型、PC関係等の仕事を多岐に渡り担当、関連雑誌等のライター。本名で著書が十数冊ある。
投資歴は30年。近年ライターとしての仕事が激減したため、プロトレーダーとして生計をたてるに至る。
2015年、ライター生活の集大成、トレーダー啓蒙書『投資の聖杯 ~投資常識の嘘~ 本気で勝てるトレーダーになりたい人のためのバイブル』を電子書籍でリリース。
最新コメント
ツナギ売買の入門と実践 [増田蔵人 著]


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